ある少年が、自転車で北海道を旅していました。
山に入っていき、数時間したら日も暮れ、近くに建物も見当たらないため野宿をすることにしました。
夜8時ごろ、遠くから笛や手拍子などの盆踊りをしている音が聞こえてきました。
もう少し進めば集落があったのかな、と思いつつ、旅の疲れで彼は寝ることにしました。
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翌朝、おじいさんが歩いてきて少年に声をかけてきました。
「お前さん、こんなところで何してるんじゃ?」
「山を進んでたら夜になっちゃって…笑。昨日、盆踊りの音が聞こえてきたんでもう少し行けば良かったです。」
するとおじいさんは言いました。
「何を言ってるんじゃ。こんな時期に盆踊りをするわけないじゃろう。」
何を言っているかわからないと言った顔をしておじいさんは去っていきました。
少年はその場に残され、昨日のことを思い出しました。
確かに今は9月の下旬だし、盆踊りはないか。でも祭りの音は聞こえてきたはず。あの、丘の向こうだろう。と思い、丘の頂上から下を見下ろしました。
そこには草木が無造作に生い茂った墓地がありました。
それを見た瞬間、彼は一目散に自転車に戻り、キャンプ道具も無造作にバッグに詰め込み、山を駆け降りていきました。
後に聞いた話だと、あそこは昔、村があったそうで、今は廃村になっているとの事でした。
昨日のうちにそれを見ていたらと思うと、今でもゾッとします。